氏名: 清水亮太 (m953417)

論文題目: 盲児の空間理解獲得を支援するシステムの作成


論文概要

盲児,とくに先天盲児は,一般に空間理解が晴眼者よりも困難である.この 空間理解とは, ①「形状の弁別能力」 ②「空間における位置・方向の知覚能力」 ③「異なる空間関係の知覚能力」 であり,晴眼者の場合,幼児期のブロック遊びや日常生活から自然に獲得して いくと考えられる.そこで本研究ではこの空間理解能力,とくに「位置・方向 の知覚能力」獲得を支援するCAIシステムを作成した. 本システムは,計算機・カメラ・ブロックとその配置のための台とから構成 されている.学習者は,音声により与えられる課題に対し,正確なブロックの 配置を試みる.その配置をカメラで計算機に取り込み,画像処理・認識を行な い,結果を音声によって出力する.誤って配置された場合は,音声により訂正 を出力し,学習者は再度ブロックを配置し直す.この課題の出題と訂正を繰り 返し行なうことにより,盲児の空間理解能力の獲得を支援する.  今回用意した課題は四題である. Ⅰ.ブロックの選択 丸・三角・四角のブロックの中から提示された形のもの を選び出す. Ⅱ.ブロックの配置 マスに区切られた台上の提示された場所にブロックを配 置する。 Ⅲ.三目並べゲーム 3×3のマス上で,できるだけ早く自分のブロックを一列 に三つ並べる対戦ゲーム.人(晴眼者・盲人)もしくは計算機と対戦すること ができる. Ⅳ.福笑い 丸・三角・四角のブロックで顔をバランスよく作る.評価は3段 階で行う. このシステムを,盲人二名(先天盲・後天盲)により試用してもらい,その結 果からさらにシステムを改善し,盲児一名(先天盲)に試用してもらった.ま た,比較検討のため,晴眼の児童二名により試用実験を行った.その結果から, システムおよび課題の評価を行い,今後の課題を示した.
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