氏名: 関 洋子 (m953421)
論文題目: 仮想化内視鏡システムにおける臓器形状変形手法に関する研究
論文概要
本報告では,軟らかい臓器の変形を実現するための一手法を提案し,それを,
筆者らが開発している仮想化内視鏡システム(VES)に組み込んでステント挿入の
シミュレーションを試みる.
本手法は,臓器の形状を,質点ばねモデルと呼ばれる数理モデルで表現し,各
質点の位置をばねの力学法則に基づいて逐次的に移動させることにより変形を表
現する.具体的には,3次元CT像から構築された臓器形状を表す三角形パッチに
基づいて質点とばねとを配置し,臓器に対する変形操作を質点ばねモデルに対す
る力学操作とみなし,ばねの変形を逐次的に計算することで臓器変形を表現す
る.実際の変形は,以下のように行う.まず,各質点の位置を基に隣接するばね
から受ける力を計算する.次に,この力を基にして,微少時間後の各質点の位置
と速度を運動方程式に基づいて近似的に求める.この計算を逐次的に行うこと
で,臓器形状の変形を表現する.
次に,この質点ばねモデルで近似した気管支表面に対し,ステント挿入のシミ
ュレーションを試みた.ここでは,臓器内に挿入され広げられたステントに押さ
れて臓器が変形を行う様子を表現する.実際には,広げられたステントと接触を
行う臓器上の各質点を強制的に移動し,上記モデルに基づき各質点の位置を計算
することで実現する.また,ステントも,変形した臓器から力を受けて運動を行
う.このシミュレーションの結果,ステント挿入による臓器の変形操作を対話的
に実現可能であることを確認した.
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