氏名: 松坂匡芳 (m953431)

論文題目: 胸部X線像の成分図形抽出における動的輪郭モデルの利用とその自動設計に関する研究


論文概要

本論文では,弾性輪郭モデル(Elastic Contour Model 以下 ECM)による胸部X線 像上の成分図形抽出手法の開発と,そのECMの自動設計に関する一検討について述べ る.本報告で扱うECMは,複数の制御点と隣接制御点間に張られたバネ,および,隣 接する2つのバネの間の角度を調節するバネから構成される.また,このECMは,適当 な初期状態から,原画像上のエッジと各制御点の位置関係で決まる外部エネルギーと ,バネエネルギーに基づく内部エネルギーの和が最小になるように,各制御点を逐次 的に移動させて目標とする図形の輪郭線を抽出する.本研究では,このECMを間接撮 影胸部X線像134例に適用して肺輪郭線の抽出を行い,良好な結果を得た.しかし,EC Mの各エネルギーの定義,および,エネルギー間の重み係数の値を決めるのは容易で はなく,これまでは,ユーザーの経験に基づいて試行錯誤的に決定されていた.そこ で,本論文の後半では,ECMの自動設計のための一手法について考察する.具体的に は,ECMの内部エネルギーを定義するための形状モデルと外部エネルギーの定義に用 いるエッジ画像の自動生成,また,この2つのエネルギーの大きさの比を決める重み 係数の自動設定法について検討する.また,自動設計されたECMと本論文の前半で提 案した経験的に設計されたECMとの間で能力の比較を行った結果についても示す.
目次に戻る