氏名: 安江正宏 (m953433 )

論文題目: 3次元胸部CT像における臓器の抽出と特徴量計測に関する研究


論文概要

 本論文では,3次元胸部CT像からの大動脈の抽出と各種臓器の特徴量の計測手法 について述べる.大動脈の抽出は縦隔部の異常陰影候補領域の検出に有効であると考 えられるが,周辺組織とのコントラストが小さいため容易ではない.本手法は,大動 脈のモデルを中心線とリングで構成し,エッジ情報と図形の形状情報を利用して抽出 をおこなう.まず,モデルの中心線を各症例ごとにおおまかに変形し,配置する.こ の中心線を用いて大動脈の走行方向に垂直な断面を推定し,この断面上で主にエッジ 情報を利用してリングの変形をおこなう.この際,リングの円形度および隣接するリ ングの位置情報を利用する.最後にリングから大動脈の輪郭を構成し抽出をおこなう. 本手法による抽出結果を手入力によるものと比較し,良好な結果が得られることを確 認した.  臓器の特徴量の計測は,実際の人体(患者)では容易ではないが,3次元イメージ ング装置から得られる仮想化人体上では可能であり,診断および治療の支援に有効な 情報となる.本研究では臓器壁面に沿った最短距離,表面積および体積に注目し,計 測手法の能力を評価する.具体的には,それぞれの特徴量について多面体データに基 づく計測手法,ボクセルデータに基づく計測手法を与え,ファントムデータを用いて 誤差を検証する.また,実画像に適用した結果,多面体データに基づく計測手法が有 効であることが確認された.
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