氏名: 王 静 (m953438)
論文題目: 条件伝搬を用いたプログラムの部分評価に関する研究
論文概要
ソフトウェア開発の大規模化・複雑化に伴い,ソフトウェア生産性向上の必要性
が高まっている.今まで蓄積された大量のソフトウェア資産を如何に十分に再利用し
て,ユーザの要求を満足する信頼性の高い製品を効率良く開発できるかが重要な課題
となった.
部分評価は稼働環境に関する情報を利用して,汎用または標準プログラムを能率の
良いプログラムに特殊化する手法である.プログラムの部分評価が実現でき,それを
プログラムの開発現場に適用できれば,プログラム生産性の向上が期待できる.
本研究は条件伝搬という部分評価の手法を提案し,それに基づいてSPE(Sapid
Partial Evaluator)と命名した部分評価のツールを試作した.
条件伝搬はAndersonらが提案した中間生成手法に条件文の複製を取り入れた新しい
手法である.この手法は記号実行を用いた従来の部分評価の手法より効率性・信頼性・
再利用性などの面で優れている.静的解析を用いた中間生成手法と比較しても解析の
精度が向上したため,より効果的な部分評価が実現できる.試作した部分評価システ
ムをプログラム例に適用した結果,汎用のプログラムを稼働環境に応じた効率の良い
プログラムに特殊化したことが確認された.また,定量的な評価として,部分評価に
よりプログラムprintf()のサブセットを特殊化したところ,実行速度が28\%向上した
ことが分かった.
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