氏名: 上田 真二 (289634105)

論文題目: 多元接続下でのM進スペクトル拡散通信方式の同期捕捉の研究


論文概要

近年、高度情報化社会を迎え通信需要が増大し、 周波数利用効率が高く、高品質な通信を行なうことの出来るシステムが望まれている。 M進スペクトル拡散通信方式は 良好なビット誤り率特性を持ち、周波数利用効率に優れた通信方式である。 この方式は同期捕捉が非常に困難であることが知られている。 最近、遅延検波を用いた新しい同期捕捉法が提案された。 この方法は、 遅延信号と非遅延信号の積がある一定の符号となる特徴を持ったM進拡散系列を用いて 同期検出を行なうものであり、 これにより同期捕捉回路構成の簡略化が可能となった。 しかし、通信路上で多数のユーザが同時に通信を行なう、符号分割多元接続下では 干渉局信号の希望局信号に対する干渉が無視できないため、 同期誤りが増加する。 本論文では、このような問題点の解決を目標とし、 まず遅延検波型同期捕捉法を用いたM進スペクトル拡散通信方式の 多元接続下での同期捕捉性能について考察する。 この場合遅延信号、非遅延信号のそれぞれに干渉局の信号が加えられるため、 多元接続による同期捕捉性能の劣化が著しいことを示す。 次に、同期式多元接続下での同期捕捉性能を向上させるために 非直交符号を拡散符号として導入することを提案し、その同期捕捉性能を評価する。 評価の結果、希望局の同期点で干渉局の相関出力もピークとなり 同期点出力が増加するため、同期捕捉性能が向上することを示す。
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