画像から目的の物体を切り出すことは，画像認識において必要不可欠なものであ る．例えばビルなどの監視システムにおいては，監視カメラから得られる画像か ら対象を自動的に切り出すことが必要である．この場合，対象の位置や角度，大 きさ，姿勢などによらずに，目的の物体を抽出することが望まれる．この種の研 究は，これまでテンプレートマッチングやGeometric Hashingなど，さまざまな 手法で行なわれてきたが，ノイズやオクルージョンの影響が強い場合や関節物体 を対象とした場合の手法にはまだ課題が多い．このような場合には，モデルを用 いたトップダウン処理によって抽出を行なうのが，最も適しているのではないか と考える．そこで本研究では，関節物体の例として馬を取り上げ，その向きや大 きさ，姿勢の変化，さらにはオクルージョンやノイズによる輪郭の欠如や擬似輪 郭も考慮した関節物体のモデルを作成した．対象画像は2値の線図形とし，ノイ ズやオクルージョンが多い，すなわち，ボトムアップ処理からは十分な情報が得 られないと仮定した．そして，モデルを用いて画像中の関節物体をトップダウン 処理によって抽出する試作システムを作成し，実験を行なった．