氏名: 伊藤 真洋 (289734053)

論文題目: π-計算に基づく並行プログラム向けツールキットの作成


論文概要

本論文ではπ-計算に基づいて記述される並行プログラムをC言語 の実行可能なプログラムへ変換するツールキットpi2cを実現する。 並行プログラムはπ-計算とC言語を組み合わせて記述する。 通信構造が動的に変化可能な π計算のモデルを利用することで柔軟かつ形式的なプログラムを 記述することができる。この特徴を利用した 実行可能な信頼性を持った並行プログラムを構築する手段と方法を示す。 並行プログラムは プロセスの状態遷移およびプロセス間の通信をπ-計算の動作式により記述し、 詳細な動作をC言語により記述する。

π-計算を用いることで並行に動作するプロセスの状態遷移、 プロセス間通信制御の記述に形式性と明晰性を持たせることができる。 また、π-計算による記述が複雑になる詳細部分はC言語を用いて 簡潔に記述出来るようにする。さらにπ-計算の記述をname上の 演算が可能になるように拡張することで、プログラミングにおいて 頻繁に利用される条件分岐、数値演算などの π-計算では複雑になってしまう記述も簡潔に表現できるようにする。

例としてフィボナッチ数列の計算と携帯電話のプロトコル(Public Land Mobile Network)の記述を示し、 実行可能なプログラムを自動的に生成することが出来る事を示す。 さらに フィボナッチ数列の計算ではname上の演算により記述がどれだけ簡潔に なるのかを、携帯電話のプロトコルでは C言語で記述した詳細部分をプロセスの内部動作として扱うことで、 π-計算の形式性を利用したプログラムの検証が行えることを示す。


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