氏名: 岩本 奈美 (289734061)

論文題目: カスタマイズ可能な部分評価器とそのソフトウェア再利用への応用


論文概要

プログラムは部品を組み合わせることによって作成することが可能である。 今までに多くのソフトウェアが開発され、それらの多くは実際に部品を組 み合わせて作成されている。 ソフトウェアではそのために部品を作成しプログラムを作成することもある。 このため同じ機能や類似した機能を持つような部 品が多数作成されている場合がある。 部品を何度も作成することは効率的ではなく、また部品化の意味を失わせるた め、 ソフトウェア開発において既存の部品を新しいソフトウェア構築に利用するプログ ラムの再利用は重要な技術である。 プログラムの再利用はコストの軽減や信頼性の向上をもたらす。 プログラム部品の再利用のためには、使いやすい部品形態、部品管理手法、検 索された部品の適合化などが重要である。

このような部品ライブラリを作成する場合、部品を作成する立場から考えると、 似たような機能は1つの部品としてまとめて扱わなければならない。 これは、部品の粒度を細かくしてしまうと、部品の数が増加し管理することが 難しくなり、検索も困難な作業となるためである。 一方部品を利用する立場から考えると、自分の利用したい機能だけを持つ部品を 利用したいと考えるので自分に必要のない機能を含む汎用的な部品よりある特 定の機能のみを持つ特化した細粒度の部品を要求する。 このように部品を作成し管理する立場と部品を利用する立場では部品に対する 要求が異なる。 そこで、汎用的な部品を部品ライブラリに蓄積し、その部品を利用する時に自 分の必要となる機能のみを抽出し特化した部品にし、利用できる部品化機構を考える。 この時に手作業で汎用部品から特化プログラムを作成することは効率が悪く、 信頼性の低下なども考えられ、再利用の利点が失われる。 そのため、プログラム部品の抽出の自動化を考える。

この汎用的な部品から特化したプログラムを抽出するためには部分評価の技術を 利用する。 プログラムの部分評価は実行効率を向上させる手法として長年にわたって研究 が行なわれている分野である。 部分評価はプログラムの入力値に対して評価可能なプログラムセグメントを評 価し、縮小化されたプログラムを作成する手法である。 この手法を利用して、プログラムをある1つの機能に特化したプログラム部品 を作成することに利用する。

抽出されたプログラムを部品としてソフトウェアが作成され、運用・保守され るため、抽出されたプログラムが保守作業者にとって読みやすいものである必 要がある。 部分評価は実行効率を向上させることが目的であるので、部分評価を行なった 結果を人間が読み理解するという状況を想定していない。プログラム変換やプ ログラムの展開などが多く行なわれ、可読性の低いプログラムとなることが一 般的である。 部品抽出を目的とした場合の部分評価ではこのような問題点を解決した。


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