氏名: 大河内 俊雄 (289734096)

論文題目: 仮想版画 - 非写実的画像に関する基礎研究


論文概要

 近年,コンピュータ・グラフィクスにおいて,写実的な画像生成に関する研究は非 常に盛んに行われてきており,その進歩には目覚ましいものがある.その一方で,非 写実的な画像の表現手法についてもその必要性が唱えられている.  本論文ではこれらのひとつとして,木版画画像を合成する手法について述べる.こ れは,すでに開発されている仮想彫刻システムを応用し,三次元仮想空間内に仮想版 木を作成する「彫り」と,仮想版木に基づき,仮想空間内に「紙」「版木」「ばれ ん」「絵具」を用意することで対話的に版画画像を合成する「摺り」のふたつの過程 により木版画画像を合成するものである.  仮想版木の制作「彫り」においては,実際の版木制作において考えられる様々な彫 り方を,下絵として入力したニ次元画像の特徴量を利用した自動切削によって実現し た.また,版画の印刷「摺り」においては,「木目の凹凸」「絵具の色・水分量」な どの条件を計算機上で実現することにより,これらの条件や,ばれんの使い方などに よる刷り上がりの違いを表現することが可能である.また,複数の仮想版木と複数の 絵具の色を使用した多色刷り版画画像の合成も提案する.  これらにより,ユーザの意図,作風や,条件による作品の違いを表現することが可 能な木版画風画像の合成を実現し,その可能性を確認した.


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