現在の社会では, 計算機は社会の隅々にまで浸透し, その果たす役割は多種, 多様化している. それに伴いデータベースに蓄えられる情報も多種, 多様化し, その量も増加の一途を辿るのみである. そのような状況下においては従来のト ランザクションの概念を適用するのが難しいデータベースアプリケーションが 存在する. これらのアプリケーションにおいては, トランザクションは 互いに関連し合う単純な処理要求から構成され, 大量の情報にアクセスする 必要があり, 計算機システム中に長時間存在する. このようなトランザクショ ンを, 長時間トランザクションと呼ぶ.
我々は, 長時間トランザクションを, 三層に分割し, それぞれの層において, 逐次的な状態の遷移, 単純な処理要求の集合, 単純な処理要求を管理する三 階層長時間トランザクションモデルを提案している. 本論文では, 第二層以下である, 単純な処理要求の集合を効果的に実行制御 する手法について述べる. すなわち, 原子的で単純な処理要求をタスクとし, タスク間の関係を表現する有向グラフであるタスクフローを用いてタスクの実 行制御を行なう.