近年、開発されるシステムの規模は増大し、プログラムも複雑になってきてい る。このような開発を効率良く行なうため、様々な方法が提案されている。そ のひとつに、オブジェクト指向技術を用いたものがある。この手法は設計から 保守まで、一貫して扱えるなどの利点を持っている。しかし、既に開発された システムに対しては、再設計を行なうのと同程度の工程が必要となる。このた め、既に開発されているプログラムを直接オブジェクト指向プログラムに変換 できると良い。
本論文では、現在主流である、手続き型言語を用いて開発され たプログラムを、直接オブジェクト指向プログラムへ変換する手法について提 案する。本手法では、オブジェクトの永続性の観点から、インスタンス変数の 候補を取得し、それらと手続きとの間の利用関係を調べ、強い結びつきのある 手続き及び変数を組み合わせることによってクラスを生成する。また、一般に、 オブジェクト指向プログラムのメソッドの粒度は手続き型プログラムよりも細 かいため、手続きを望ましい粒度へ分解する方法を提案する。提案手法を用い てCからC++へ変換するためのシステムを構築し、その有効性について評価した。