氏名: 袴田 眞史 (289734320)

論文題目: Cソースコード中のコメントと構文要素の自動的な対応付けについて


論文概要

本論文では、ソースコード中で使用されているコメントのスタイルと、 それに基づいたコメントと構文要素の対応付けについて述べる。

従来の CASE(Computer Aidede Software Engineering)ツールでは、 計算機が容易に解析できるコード中の実行文に重点がおかれており、 コメントは活用されていない。しかし、コード中に 書かれた各種のコメントは、コードに関する様々な情報を与えてくれる ことが知られており、そのため、コードの効率的なメンテナンスには コメントを活用する事が必要だと考えられている。その流れから、 CASEツール上でコメントを扱いたいという要求が存在している。

CASEツールでコメントを扱うためには、コード中のコメントに 関する情報が計算機で扱える形になっていることが必要である。 コメントに関する情報としては、コードをスキャンするだけで 簡単に得られる情報(位置情報や中身の文章)だけでなく、 文章の内容や、バージョンが異なるコメントを比較する事で得られる、 文章の更新履歴といった情報が考えられる。 こうした情報のうち、コメントの内容に関する情報を扱うためには、 あらかじめコメントに目印を埋め込むなどの前処理が必要である。 こうした前処理が施されていないコードを扱う場合は、なんらかの 方法でコメントに関する情報を補う作業が必要になるが、 この作業にかかるコストは大きい。

そこで本研究では、プログラマがコメントの内容を理解する際には コメントのスタイルからも情報を得ていることに注目して、 コメントに関する情報でも特に重要だと思われる、コード中の あるコメントと、コメント(内の文章)が説明の 対象としているコード中の構文要素(関数・変数など)との対応関係を 取得することで、前処理作業にかかるコストを削減することを目標とする。

具体的には、既存のコードで使われているコメントのスタイルや、 一般に推奨されているコメントのスタイルに関する調査を元に、 コード中のコメントのスタイルの検出を行い、その検出結果に基づいた コメントと構文要素の対応付けを行なうツールを作成した。 さらに、このツールがコメントと構文要素の対応付けに有効であることを示した。


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