本論文では、異なる2つのバージョンのプログラム間で行われた変更について、 パターンを用いることでその変更の理解を支援するための パターンベースシステムについて述べる。 このパターンベースシステムでは、プログラムに対する変更を部分構文木の 差分とその変更の意味としてパターン化する。
プログラムに行われる変更のうちで、どのようなプログラムにも現れるような 典型的な変更をパターンとして蓄積し、プログラムに変更を行った際に これらの変更と蓄積されたパターンとの比較を行うことで、 変更がどのような意味を持つものであるかを出力する。 これにより、プログラムに行われた変更を理解することが容易になり、 プログラムに開発や保守をより効率的に行うことができる。
また、一般にプログラムに変更を行う際には同じような変更を プログラムの複数の箇所に対して行うことが多いため、 同じ変更が行われたと判断できる部分をまとめることによって 出力される差分がなるべく小さくなるようにした。 これによって、同じ変更を何度も目にする必要がなくなり、 より本質的な変更に注目することが可能となる。