本論文では、我々が開発した 野球中継を対象とした ビデオ・データベース・システムSTRIKE のための、インデキシング支援機構 について述べる。 STRIKEでは、イベント-アクティビティ・モデルに基づいた シーン検索を行う。 イベント-アクティビティ・モデルでは、 「投手がボールを投げる」「打者がボールを打つ」等の ビデオ中の実体の特性変化と実体間の相互作用をイベントとしてモ デル化し、 イベントをビデオ・フレームにインデックスとして 対応付けることにより、 ユーザの視点に基づいたシーン検索を実現する。 イベント-アクティビティ・モデルに基づくシーン検索のためには、 データベース作成者が 一つの野球の試合に対して数千個 のイベントをインデックスとして付加する必要がある。 インデキシングの労力を軽減するために、 インデキシング作業を支援する 機構が要求される。
イベントは、対象世界のオブジェクトの運動に基づいて発生する ため、画像処理を利用してオブジェクトを認識し、イベントを 自動的に抽出することが考えられるが、すべてのイベントを 抽出するのは困難である。 そこで、 任意の時刻における実体の状態の集合である概念「状況」 を用いて、野球中継においてイベントの起きる 規則を知識として記述する。 記述した知識を利用して、 画像処理により抽出したテロップ等の情報から ビデオ中で発生したイベントを推定することで、 データベース作成者のインデキシングを支援する。 我々は、この機構に基づいたシステムを開発し実験した。