氏名: 本田 和利 (289734428)

論文題目: 多エージェント自己認識論理の推論系の効率化とその実現


論文概要

高度な知識処理システム実現のために,常識を用いた推論や不完全な知識の下 での推論を行うことが可能な論理体系が提案されている.そのような論理の一 つに多エージェント自己認識論理があり,この論理を用いることにより,属性 継承や因果関係のある知識を自然に表現することができる.

ところで,与えられた論理式の充足可能性を判定する手続きは決定手続きと呼 ばれ,論理に基づく知識処理システムを実現するためには,この決定手続きの 効率化が重要な課題となる.

多エージェント自己認識論理には,決定手続きとして導出原理とラベル付けを 用いた方法が提案されている.ラベル付けとは,エージェントの持つ知識に対 する真理値割当の無矛盾性を調べる操作である.ラベル付けを行う回数はエー ジェントの持つ知識に対して組合わせ的に増加するので,これが決定手続きの 効率低下の原因となっている.

本研究では,多エージェント自己認識論理の効率的な推論系を実現するために, 導出原理を用いた決定手続きにおいてラベル付け回数の爆発を防ぐ手法を提案 する.本手法では,前提知識から確定できるラベルをラベル付けに先立ちあら かじめ求める.さらに,矛盾する拡張を導くラベル付けを削除する.また,充 足可能性の判定に必須な導出木集合のみを用いた判定を行う.

また,実際にこれらの手法を計算機上に実現し,効率の比較及び評価を行った. その結果,問題によってはラベル付けの回数を定数個にまで減少させることが できた.


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