氏名: 山崎 通弘 (289734495)

論文題目: スタイル選択可能な文章作成支援システム


論文概要

技術論文などの文書は、流動的ではあるが、ある種の決まった論理展開を持っている。 このような文書のことを半定型性文書と呼ぶ。 定型性を持たない文書の場合と異なり、 半定型性文書では、その論理展開を利用することで文書作成が容易になる。 本研究では、半定型性文書を対象にした文書作成支援システムについて述べる。

半定型性文書を対象にした文書作成支援システムに関して、 岩田(1998)が文章構造記述言語TSML(Text Structure Markup Language)を提案している。 これは、文が文章中で果たす役割や前後の文との接続関係を、 各文に付加するマークアップ方式で記述することにより、文章構造を明確にするものである。 岩田は、この言語で記述された文章のデータから、 接続表現の追加や語尾調節をすることによって、 首尾整った文章を生成するシステム(TSMLブラウザ)を作成している。

しかし、岩田の提案したTSMLでは、 文章の論理展開を示す各役割の順序に対する制約や 新な論理展開に対する拡張について明示されていなかった。 また、作成したTSMLブラウザは、TSML解釈のルールが解釈エンジンと 一体化されて設計されていたので、接続表現の追加・拡張が困難であった。 こういったことから、岩田のシステムは、生成した文章が単調になりがちで、 柔軟性にかけるものであった。

そこで、本稿では、「スタイル」という概念を導入することにより、 論理展開に制約と拡張の方法を与えるTSMLの拡張を行う。 また、TSML解釈ルールをシステムから独立させることで、 接続表現の定義・追加を容易にする。 そして、このような「スタイル」を複数用意し、 必要に応じてそれらを取り替えることにより 柔軟な文章が作成できる文書作成支援システムTSMLエディタを開発する。


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