現在ソフトウェアライフサイクルにおいて保守が高い割合を占めている。とり わけプログラム理解はコードの修正・変更などといった保守作業の本質的な 作業でないにもかかわらず、その比重は高い。現在ある理解支援ツールを 考えてみると、その多くがプログラムの抽象度を上げることが目的であったり 仕様書を提供することが最終目的であるため、概観を把握するためには役に立 つが、コードを変更するなど具体的な作業時での支援とはいい難い。
そもそも「理解」とは人・対象物により千差万別であり、共通の理 解方法というものは存在しない。しかし対象物がプログラムであり、プログラ ムの動作に不満を持った人がプログラム変更のために望む理解であれば、少な くてもプログラムに取り掛かる時の着眼点は似たようなところであると考える。
そこで本研究では、プログラムの動作履歴をベースに焦点を絞り込み、その焦点 を用いることによってユーザが自分の望む情報を得ることの出来る手順を提案する。 ユーザの好みを的確に捉えて、プログラム中の膨大なデータの中から望む情報 を得ることは実際的に不可能であるため、まずデータを絞り込むことが必要となる。 絞り込むことにより最低限理解に必要だと考えられる焦点を得て、焦点を基に 望む情報を得ていく。