氏名: 押谷 徹 (289834074)

論文題目: 情報伝播および仮説検証に基づく並列市街地地図認識に関する研究


論文概要

本論文では、市街地地図認識に対して並列処理を適用する手法を述べる。 並列処理では複数のプロセッサが利用可能であるので、 分割された画像の並列実行による処理速度の向上、 およびプロセッサ間での協調処理による認識率の向上が可能となる。 しかし、画像を分割することによって、境界付近の情報が失われ、 認識結果に影響を与える。 また、トップダウン処理や協調処理では、 道路情報を推定・検証するタスクやそれを実行するプロセッサの制御が重要となる。

本論文では、上記の課題に対して、 分割型多層黒板モデル上で、 情報伝播に基づく実行制御法およびタスクの階層構造によるトップダウン処理、 協調処理の実行制御法について述べる。 処理の流れによる下位層から上位層への縦方向の情報伝播、 および部分画像の境界付近の情報損失を防ぐために 隣接する部分画像間での横方向の情報伝播を定義し、 これらの情報伝播によって実行に必要な情報が揃った部分画像から 動的にプロセッサへ割り当てる。 また、トップダウン処理、協調処理では、 ボトムアップ処理によって得られた道路情報から推定される情報を仮説とし、 関連する仮説間で協調的に検証することによって道路情報を精錬する。 従って、上位層で生成された仮説を下位層で検証するために、 上位層−下位層間で仮説および検証タスクの階層関係を構築する。 そして、関連のある仮説をグループ化し、 これらの検証タスク間で協調的に仮説を検証することによって、 トップダウン処理、協調処理を実現する。 最後に、本手法に基づいた試作システムを並列計算機上で実装し、 その有効性を評価する。


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