本研究では、住宅地図画像から住所情報、特に番地を抽出し、住所データベースを自 動構築する手法について検討する。 住宅地図画像中の番地は区画線あるいは番地同士の接触や傾きなどがあり、加えて文 字の小ささからつぶれも生じる可能性が ある。現在の画像認識技術でこれらすべてに正確に対処するのは困難であり、ある程 度の誤認識、認識不能箇所は避けられない。 従って、画像認識のみでは番地データの欠落箇所が生じ、データベースの検索に支障 をきたす。
この問題に対し、我々は区画の配置と番地の並びとの関連に着目し、区画ネットワー ク（区画の配置情報）に基づいて周辺区画の 番地を欠落箇所に補完する手法を提案する。区画の配置と番地の並びの関連の統計を とり、周辺区画の番地データにその統計情報 を付加した「補完データ」を欠落箇所に埋め込む。この「補完データ」に適切な検索 機能を与えることで欠落データの補完処理を 実現する。これにより、住所データベースを住宅地図画像から自動構築するシステム を実現することが容易になる。 本論文では、住宅地図画像から区画ネットワークを抽出する手法、及び番地欠落箇所 に対するデータの補完方法について述べる。 また、試作システムにおいて、本手法に基づくデータ補完手法がどの程度検索に対処 可能かを示す。