氏名: 清水 邦彦 (289834198)

論文題目: モバイル環境下のアドホックコミュニケーション支援に関する研究


論文概要

 情報化社会の進展と共に、移動した先で、他の人間との間のみでなく、オフィスのPCやキオスク端末等の情報機器との間で、様々な情 報交換を行う機会が増加している。このような、人と人、人と情報端末のように情報源どうしが出会ったその場で一時的に行うコミュニ ケーションをアドホックコミュニケーションと呼ぶ。様々な場所で行われるアドホックコミュニケーションは一般に、それぞれが独立し ているとは限らず、その繰り返しによって、分散した情報源の間での情報共有が行われていると考えられる。例えば、個人のスケジュー ルが、オフィスと家庭のそれぞれのPCで管理されている場合を考える。この場合、出張や会議の予定はオフィスのPCから得られ、家族旅 行などの予定は家庭のPCから得られる。それぞれの予定は独立に決められるわけではなく、互いに依存しており、個人のスケジュールは 双方の情報が共有されていないと決められない。

 従来、人は、分散した情報を自ら処理し、整合性を保ってきた。しかし、情報化が進むにつれ、情報源が大幅に増加することが予想さ れ、人間の能力だけでは分散した情報を素早く処理し、共有することは困難になると考えられる。

 一方、近年の携帯端末の小型化、軽量化により、日常的に端末を携行し、利用する環境が整いつつある。携帯端末を用いて、アドホッ クコミュニケーションを支援することにより、分散している情報の共有を支援することが可能になる。本研究では、複数の端末が単一の ネットワークに同時に接続されないような分散環境において、アドホックネットワークを用い、移動端末間で直接通信を繰り返すことに より、全ての端末間で情報を共有する手法を提案する。アドホックコミュニケーションにおける情報共有においては、分散している情報 間の整合性を保つことが必要である。本研究では、特に情報の同期が重要な役割を果たすと考え、全てのコミュニケーションの基本とな る同期ライブラリを開発した。これを用いて、オークションや土地売買ゲームなど、アドホックな環境において人間がコミュニケーショ ンを行うアプリケーションを作成した。それらでは、入札価格や所有している土地、所持金などの同期にライブラリを利用した。同期を 行う機能により、アドホックコミュニケーション支援が行えることを確認した。


目次に戻る


asakura@nuie.nagoya-u.ac.jp