氏名: 鈴木 孝聡 (289834210)

論文題目:

Javaプログラム理解のための構造-動作統合モデルに関する研究


論文概要

ソースプログラムの巨大化・多様化に伴い、 プログラムの内部的振舞いを理解することが困難になってきているため、 CASEツールによりその支援を行う必要がある。 その際、プログラムの構造情報だけでなく、 実行時に判明する振舞いの情報(動作情報)を利用することで、 効果的な理解支援を実現することができる。 本研究ではJavaプログラムの振舞いをモデル化し、 さらに構造情報と動作情報を関連付けた統合モデルを提案する。 そして、そのモデルに基づいたデータベースを構築し、利用方法を確立する。

人間は一般に、プログラムの内部的振舞いを、 実際計算機上で行われる動作でなく 「変数の参照」「メソッド呼び出し」などの より抽象度の高い動作の連続として捉える。 したがって計算機上の動作を人間の理解に即したレベルまで抽象化し、 プログラムの実行をそれら抽象的な動作の連続としてモデル化した。 また、プログラムの振舞いの理解は ソースプログラムの構文要素と抽象的な動作の 対応をとりながら行われるため、 CASEツールにおいて支援を行う際には、 構造情報と動作情報の対応付けがなされていなければならない。 このため、既存の構造情報モデルJ-modelと、 前述の動作情報モデルを関連付けることで 統合モデルを定義した。

そして、CASEツールから構造情報・動作情報を利用するための プラットフォームとして、 プログラムの実行時に統合モデルに基づいて動作情報を 取得してデータベースを構築するシステムと、 そのデータベースへのアクセスライブラリを提供した。 さらに、このプラットフォームを利用して サンプルのCASEツールを作成し、有用性を実証した。


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