単眼動画像解析による姿勢推定では,体の一部が隠されたり,光軸方向に動いたりすると姿勢が正しく復元できない.本研究では,人体形状モデルと動作モデルを用いて人の三次元姿勢を推定することで,これらの問題を解決する.動作モデルは手本となる動作の関節角度を時系列として記録したもので,被験者はモデルの動きを真似ていると仮定する.人体モデルの形状パラメータは対象となる人物の正面写真から算出する.
はじめに,動作モデルと時系列画像で動きのタイミングを一致させるため,それぞれを変化の大きい区間と小さい区間とに分けてから対応付ける.次に,人体モデルに動作モデルの姿勢を取らせてから画像に投影し,画像とモデルのシルエットおよび輝度エッジのずれを測定する.人体モデルの関節角度を腰から四肢の順で少しずつ変えて,ずれが最小となる姿勢を求める.これを画像の姿勢とする.また,動作の連続性を使って動きを予測しながらマッチングを取ることで,信頼性の向上させ計算コストを削減する.隠されたり画像上の変化が少ない動きはモデルのパラメータを使うことになるので,どの場合も動きを安定して抽出できる.実験により提案手法の有効性を検証する.