本研究では、軟出力ヴィタビアルゴリズム(SOVA)に基づく反復(ターボ)
復号の特性を図るために、2つの復号法を提案する。 一つは、ターボ
復号の復号ストリームを2つ生成し、並列に復号を行うことで特性を改善することが
できる、並列復号法である。従来のターボ復号法では1つの復号ストリームしか存在
しないのに対し、提案する手法では2つの復号ストリームを生成して、並列に実行す
る。
もう一つは、ターボ復号において事前情報としてやりとりされる軟出力情報に対して
動的に上限を設けることで特性を改善することができる復号法である。軟出力ヴィタ
ビアルゴリズムによって供給される尤度は過大に算出されてしまうために、復号にお
ける事前情報の重みが大きくなることから特性が劣化してしまうことが報告されてい
る。そこで、供給される出力の分布の平均値、分散値に依存した尤度の上限値を設け
ることで特性の改善を図る手法を提案する。
これらの復号法は、軟出力ヴィタビアルゴリズムに基づくターボ復号の利点である、
復号における計算の簡単さを損なうことなく、特性を改善することができることを示
す。