特定の人、不特定多数の人に情報伝達、情報提示の手段の一つとしてプレゼン テーションがあるが、プレゼンテーションにもそれが実現される形態、実施さ れる形式に応じて、またそれぞれの目的、用法に応じて多種多様なものがある。 本稿では、技術論文の内容を講演の場で発表することを目的とした、プレゼン テーション用のスライドの作成を支援するシステムについて述べる。特に、話 の展開を決定するためのシナリオを、技術論文中の話題の構造に基づいて作成 する手法を提案する。
ここで、シナリオとはプレゼンテーションにおいて用いられる話題を、話の展 開に矛盾が起こらないように配置したもので、技術論文中の話題を選択、配置 することにより構成可能であると考える。その際、話題をそのまとまり方に従っ て配置することにより、プレゼンテーションの聞き手にとって、常に話題の位 置付けが分かるようにすることをシナリオ構成の方針とする。配置する話題の 選択においては、文章中の話題の構造が視覚的に分かるように提示する必要が ある。このため、文章中の話題にどのような繋がりがあるかを調べることによっ て、話題の構造を決定する必要がある。この構造は大まかに分割された話題の うちに、さらに詳細に分割された話題を含む階層構造を持つと考える。この構 造は文章の意味的なまとまりにより構成する必要があるため、文章中の単語が どのように分布するかによって文章のセグメントを求め、語彙的結束性を用い て構造化する。
本稿では、シナリオ構成において、シナリオの無矛盾性を保ち、プレゼンテー ションの聞き手にとって理解し易いシナリオを構成するために必要な支援機能 について述べる。