氏名: 吉田 裕一 (289834350)

論文題目: 複数の知識モデルを用いた気管支枝名自動対応づけ手順の開発


論文概要

本論文は複数の知識モデルを利用した気管支枝名の自動対応づけ手順について述べる.3次元胸部X線CT像から抽出された気管支領域を各枝の解剖学的名称で認識できれば,診断支援システムとして有用であると考える.

従来の枝名対応付けに関する研究では,全ての例に対し同一のモデルを利用し,気管側からの深さ優先探索により処理を行った.そのため,モデルとは異なる分岐構造を有する例や気管支領域抽出時に枝の欠落がある例に対して誤った対応付けがなされるという問題点が生じた.

本手法では気管支を気管部,右上葉部,右中・下葉部,左上葉部,左下葉部に分け,気管部を除く区域に対して複数のモデルを用意する.区域ごとに各モデルを用いて枝の走行方向に基づく評価値を算出し,最適な評価値が得られるモデルを選択することにより枝名対応づけを実現し,従来法の問題点を改善する.

具体的には,胸部CT像から気管支領域を抽出して細線化処理を行ったものを,気管を根とした木構造として認識する.作成した木構造と,気管支の一般的な情報を記述した気管支枝知識ベースから構築した気管支枝モデルとの対応を取る.その際,細線化処理過程においてひげの発生しやすい左右主気管支に関しては気管分岐部から一定の距離にある枝を候補として挙げ,候補内の枝から走行方向を基に特定する.また,主気管支以下の枝に関しては親子関係と走行方向を基に枝名を対応づける.

本手法を胸部CT像14症例に対して適用し,枝名が正しく対応づけられているかどうか検証した.その結果,従来手法で生じた問題点を改善し,精度良く枝名が対応づけられたことを確認した.


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