氏名: 稲葉隆 (m06729)

論文題目: 時間領域と周波数領域の仕様を同時に満たす制御系の設計


論文概要

近年のロバスト制御理論の発展は非常に目覚しく, 様々 な分野で応用され効果的な制御系の実現がなされている。 また, H2/H∞ノルムを同時に考慮したものなどの混合 ノルム最適化制御問題に対する研究も盛んに行なわれて いる。 しかし, どの制御系設計法においても時間領域の特性を 直接的な形で制御仕様として考慮してはいない。 そこで, 本研究では設計仕様を表す関数が凸関数になっ ていうことに注目し, その凸性を利用することで制御系 設計問題を凸最適化問題としてとらえ直し, 仕様を実現 するコントローラの設計を行なう方法として, 次の2つの 方法を示す。 1つ目の方法は安定化補償器の一般形を用いてコントローラを 表現し仕様を満たす制御形設計問題を一般化フリーパラメータ に対する凸最適化問題ととらえ直し, 楕円体法を用いて 設計を行なう方法である。2つ目の方法は, 近年, 話題となってきている線形行列不等式条件(LMI)として問題を 書き直し設計を行なうという方法である。 そして, それら二つの方法を日本版スペースシャトルの前実験である 小型自動着陸実験機(ALFLEX)を模したモデルに対するピッチ角制 御に応用し, 2つの方法の優れている点, 劣っている点 について考察している。
目次に戻る