氏名: 早瀬研二 (m06747)

論文題目: 3次元2値画像の骨格抽出および局所パターンの解析に関する研究


論文概要

 本論文では,画像処理における基本的手法の一つである骨格(スケルトン)抽出の 一手法を提案し,2次元および3次元2値画像へ適用して得られる処理結果の考察を行 う.また,3次元2値画像の幾何学的性質を表す局所特徴量により3×3×3の局所領域 における0,1のパターン(局所パターン)を分類した結果について述べる.  骨格は原図形を復元可能であるという性質を持ち,画像の圧縮や図形の特徴抽出, 図形の整形などに利用できる.本文では当研究室で考案した,ユークリッド距離変換 を用いる2種類の骨格抽出法を用い,2次元および3次元図形に適用して得られた骨格 と,その骨格から図形復元に関して冗長な画素(冗長点)を除去したときの変化につ いて考察する.人工画像と自然画像を用いて実験した結果,冗長点除去により骨格の 50%以上の画素が冗長であること,原図形の回転の影響を受けにくい骨格となること などがわかった.  また,3×3×3の局所領域における幾何学的処理は,3次元画像処理の基礎となる細 線化や薄面化などに必要であるが,2次元の3×3局所領域の直接的な拡張では不十分 であること,局所パターンの数が膨大であることなどにより,局所パターンの性質は 十分に解明されていない.本文では6,18,18',26の4種類の連結性別に,局所領域内の すべての局所パターンを局所特徴量の可能な値ごとに分類し,その個数を示す.さら に,適当な対称変換のもとで一致する局所パターンを同一とみなしたときの分類結果 も与え,特徴的なパターンについてはその具体的な形も示す.さらに,一般の3次元 図形の局所パターンを調査した結果についても述べる.これらは,人間が局所パター ンを見てアルゴリズムを工夫することが困難であること,局所パターンマッチングに よる処理の計算時間が膨大となることなどを示唆する結果となった.今回得られた結 果は,当研究室より既に発表されている理論の数値例による検証であり,細線化や薄 面化などの3次元局所処理のアルゴリズムの設計に対する基礎資料として利用できる.
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