入学者へのメッセージ

教授からの一言

Kenji Mase

コンピュータが日常生活やビジネスシーンのあらゆるところに使われて、日用品のように使われるようになっています。50年以上前、コンピュータが出現したときに、研究者たちは、これで人工知能が実現できるだろうという壮大な夢を描きました。将棋の女流名人をコンピュータの指し手が破るというような形で、夢の一部は実現しました。また、人間の知覚の能力にあたる音声認識や画像処理技術を実現してきました。知能ロボットは機械技術と融合した新しい分野を開拓し、自動車には数十台ものコンピュータが搭載されて、快適で安全な制御が実現されています。さらに、コンピュータの知能を考えるうちに、人間の知能の仕組みが少しずつ解明され、人間同士のコミュニケーションを支援する方法もわかってきました。しかし、人工知能の夢はますます大きく広がっています。

一方、ハードウェアとソフトウェアの高速化・大規模化が進み、コンピュータの計算能力は格段に向上しました。インターネット上の大規模なデータベースから目的の情報を検索できるのも、その恩恵の一つです。情報工学と情報科学の基礎理論から応用技術までが、コンピュータやネットワークを作るだけでなく、社会・経済・政治のあらゆる場面でサービスやシステムを支えています。大規模なシステムの信頼性・安定性・安全性の向上、省電力化などの新しい課題にも取り組んでいます。

名古屋大学工学部情報工学コースでは、世界最先端の研究を進める著名な教授陣が、皆さんの研究指導と教育に当たっています。ここで得た知識と研究の経験は、皆さんが社会に出たときに大きな糧となります。皆さんの入学をお待ちしています。

(間瀬 健二)


在校生からの一言

Takuya Iwatsuka

現在、私たちの生活は情報技術によって支えられています。家電製品や自動車、携帯電話など身の周りのありとあらゆる物にコンピュータが使用されており、コンピュータはもはや私たちにとって必要不可欠なものであると言えるでしょう。しかし、人間が正しく命令を与えなければコンピュータを正しく動作させることはできません。そのため、コンピュータを正しく扱うことのできる技術者が社会に広く求められています。情報工学コースでは、このようなニーズに応えるために必要となる、基礎的な知識と技術を身につけることができます。

情報工学コースの講義として、確率・統計などの数学的な科目、ハードウェアやソフトウェアに関する基礎科目、およびデータベースや画像処理などの応用的な科目が開講されています。多くの講義に演習の時間が付随しており、講義で学んだ内容を実践することによって、これらの科目をカリキュラムに沿って体系的に習得することができます。3年次に行う情報工学実験では、グループでのソフトウェア開発や論理回路の設計などを通してさらに実践的な力が養われます。

情報技術は現代の社会を支える基盤となっています。その重要性は今後ますます増大していくものと予想されます。コンピュータに関心のある人は、情報工学コースで情報技術について広く学習することをお勧めします。

(岩塚 卓弥)


大学院生からの一言

Takahiro Tsuchida

現在、私たちの生活にとってPCや携帯電話などのコンピュータはなくてはならないものになっています。また、インターネットなどのネットワークにつなげることで、様々な情報やコンテンツに簡単にアクセスできるようになりました。皆さんも携帯電話で動画の再生や音楽のダウンロードをしたり、インターネットで買い物したりしたことが一度はあるのではないでしょうか?

私たちがこのように便利な生活を送ることができるのは、数多くの情報工学の研究成果のおかげなのです。先ほどの例も、動画や音楽を高速かつ正確に伝達するためのネットワーク技術や、安心して商品を購入できるようにするためのセキュリティ技術によって支えられています。その他にも、欲しい情報を探すための検索技術や膨大な情報を蓄積・利用するためのデータベース技術など、様々な場面で情報工学の研究成果が利用されています。

情報工学コースでは、はじめに講義で情報工学の基礎を学びます。最初はコンピュータの扱い方やその動作原理についても学べるため、今までコンピュータをほとんど触ったことがない人でも安心して学習を進められます。私も大学に入学するまでPCを一切触ったことがありませんでしたが、今では自分のアイディアを実現し、その成果を多くの人に広めるためにコンピュータを十分に活用できるようになりました。そして、情報工学の基礎を学んだ後は研究室に所属し、講義で学んだ知識を活用しながら卒業研究を行うことで、社会に貢献できる技術を習得します。研究室には、ハードウェアからソフトウェアまでたくさんの研究テーマがあるため、必ず皆さんの興味のあるテーマが見つかることと思います。私たちの生活をさらに便利にするため、情報工学コースで様々な知識や技術を学んでみませんか?

(土田 貴裕)


卒業生からの一言

Mihoko Horie

私は、名古屋大学工学部情報工学コースを卒業してから、大学院でさらに研究を行い、就職しました。

情報工学コースを選択した理由を思い出してみると、『情報技術は社会のさまざまな活動に欠かせない技術であり、どこにいっても必要とされる』からでした。逆に言えば、その当時何がしたいのかよく分かっておらず、情報工学コースを選択しておけば、その後自分がやりたいことを見つけた時に何かの形で役に立つと思ったためです。

大学・大学院時代の研究がそのまま今の仕事に繋がっているか?というと私の場合はそうではありませんでした。しかし、そこで学んださまざまなことは確実に仕事を進めていくのに役立っています。例えば、私は計算機言語という抽象的かつ理論的な分野の研究をしていました。研究をすることで身に着けた「ロジカルな考え方」「英語の文献を理解する力」「学会で大勢の人の前で発表したこと」に加えて講義で学んだ情報工学の基礎は、就職して業務を行う上でも役立っています。さらに、一緒に学んだ同級生も大学・企業で活躍しており、卒業した後も情報交換しています。

具体的な業務としては、就職してから最初の数年間は車両の運行管理システム開発に携っていました。まさしく情報工学を利用して社会に貢献できる業務でした。その後もっと世界を見たいという思いから海外勤務を希望し、海外で働く機会を頂くことができました。そこでもやはり情報技術者は必要とされました。ITエンジニアとして、お客様のシステム、PC、ネットワーク環境構築および運用を対応しました。現在帰国し、また違った業務を担当していますが、そこでも情報技術を持っていることは役立ちますし、頼りにされます。今後は、情報技術をコアにさらに幅広いことを学び、また国際社会で役に立ちたいと思っています。

情報工学を学びたいと考えている方も、まだ自分がやりたいことが分からない方も、これからの人生に必ず役に立つことが情報工学コースで学べると思います。そして卒業後は、情報工学コースで学んだことを武器に、社会に貢献し、人生を豊かなものにして下さい。

(堀江 美保子)