コース概要

コース概要

情報工学コースの教員は情報科学研究科に、電気電子コースの教員は工学研究科に属しています。
電気電子・情報工学科の2年生から、コース分けされます。

目的

情報工学コースは、高度情報化社会の基盤を支える技術者、すなわち、大量の情報を効率よく蓄積、処理、伝送し、有効に利用するための情報処理技術を有し、ハードウェアおよびソフトウェアを含む情報処理システムを構築する際に重要な役割を担う能力を有する技術者を育成するとともに、大学院に進学しより高度な能力を有する技術者あるいは研究者、教育者を目指す人材を養成することを目的としています。

このため、工学基礎および情報工学基礎に加え、計算機システム、ソフトウェアおよびプログラミング言語、パターン・メディア・知識情報処理に関する専門知識を基礎から応用に至るまで系統的に理解し、情報処理システムを構築する能力を修得できるよう教育します。

教育方針

情報工学者として望まれる下記の能力をできるだけ多く、あるいはいくつかで秀でた能力を修得させることを目標にしています。

  • 数学、物理、化学など工学の基礎に関する知識およびコンピュータリテラシなどの基本技能、ならびに、それらを工学の諸問題の解決に利用できる能力
  • プログラミング、オートマトン・形式言語、アルゴリズム、確率・統計、論理回路、計算機ハードウェアなどの情報工学基礎に関する知識、およびそれらを情報工学の諸問題の解決に利用できる能力
  • 計算機アーキテクチャ、オペレーティングシステム、ネットワーク、情報システムなどの計算機システムに関する知識、およびそれらを情報工学の諸問題の解決に利用できる能力
  • ソフトウェア設計法、コンパイラ構成法、非手続き型言語などのソフトウェア・プログラミング言語に関する知識、およびそれらを情報工学の諸問題の解決に利用できる能力
  • 信号、音声、画像、パターン、知識などの種々の情報処理に関する知識を持ち、それらを情報工学の諸問題の解決に利用できる能力
  • チームにおいてハードウェア、ソフトウェアおよびそれらを統合したシステムに関する実験を計画、実施、評価する能力
  • 情報工学における未解決の問題を識別、定式化、解決し、その結果について討論、発表する能力
  • 情報工学と社会との関わりを理解する能力

特徴

いつまでも錆びない刀 - 工学・情報工学の基礎を身につける

たとえ最先端の知識が身についても、すぐに時代に取り残されてしまう、21世紀。技術革新のめまぐるしい変化に対応するには、いかな る時代にも必要な核となる基礎力が重要なのです。

本コースでは、「数学」や「物理」などの工学の基礎を学ぶととも に、効率の良いプログラム設計に不可欠な「アルゴリズム」、不確定 な現象を取り扱うための「確率・統計」、自動機械の基礎である「論 理回路」や「オートマトン理論」、コンピュータの基本的な仕組みや 動作原理などの情報工学の基礎を教育します。

これらの基礎力を自らの工夫で活かして、未来を創る技術者を育成します。

コンピュータの仕組みを頭と体で理解

ソフトウェア実験本コースでは、コンピュータやコンピュータ応用システムを組み立て、ネットワークを構築し実際に稼働させる過程を経験することにより、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの構造と機能に関する知識を、実体験を通してより深める教育を行なっています。

また、授業で身に付けた基礎理論に基づき、論理回路やマイクロプロセッサを設計しシミュレータや実験回路基板上で動作実験を行なう課題を通して、最新の技術によるコンピュータの設計過程と実現方法を学びます。

これらの体験を通して、システム全体を見渡して広い視野で情報システムの設計ができる技術者を育てます。

プログラムを学ぶ

ハードウェア実験本コースでは、多数のプログラミング演習科目をカリキュラムに取り入れています。プログラミングを基礎から丁寧に学ぶ入門的な演習科目からスタートし、授業で学んだ離散構造や論理、数値を扱うためのアルゴリズムとデータ構造を、実際に動作するプログラムとして実現するセンスを育てます。さらに、システムソフトウェア、ネットワーキングからパターン・メディア・知識処理などの応用分野まで、広範囲のプログラミング技術を学びます。

この過程で、C, Java などのプログラミング言語をはじめ、データ構造やシステムの記述言語など、様々なコンピュータ言語と処理系について学ぶとともに、未来の処理系や言語の開発、修得ができる能力を育てます。

また、ソフトウェア開発における要求分析、設計、コーディング、テストの過程をグループ作業を通して経験し、ソフトウェア開発プロジェクトを管理・運営するための技術を学びます。

入学者へのメッセージ

教授からの一言

Katashi Nagao

幕末の革命家である高杉晋作が辞世の句として「おもしろきこともなき世をおもしろく(すみなすものは心なりけり)」と詠んだと言われています(正確には上の句のみ)。

私は、今はとてもおもしろい時代だと思っています。

新しい技術、特に情報技術が、世の中を変えていくさまを目の当たりにすることができるからです。

情報化社会などと言われて10年が経ち、インターネットは十分に普及しました。

私たちが、研究対象としていたものもどんどん実用化されてきました。

たとえば、情報検索システムは私たちの日常で必須のものとなってきています。

そんなおもしろい時代に情報工学を勉強しない手はないでしょう。

一緒に、世の中をもっとおもしろくする技術を作っていきませんか。

情報技術に関するものならテーマは何でもよいでしょう。

ハードウェアでもソフトウェアでも、プログラミング言語でもネットワークシステムでも、ロボットでも自動車でも、画像処理でも言語処理でも、おもしろくてやりがいのあるテーマはたくさんあります。

情報工学コースで勉強したことを活かして、誰も見たことがない新しいWebシステムや画期的なゲームなどを創造してみて欲しいと思います。

あのグーグルでさえまだ実現していないことに挑戦してみるのもよいでしょう。

まだまだ日本の情報技術は捨てたものではありません。

名古屋大学の情報工学コースにもよいスタッフが揃っています。

情報工学の基礎から応用まで、その分野の専門家による、とても充実した指導が受けられるでしょう。

就職に関してもしっかりサポートされますので、とても有利です。

ちょっと大げさですが、大学で勉強したことを社会で発揮して、世の中をよりよい方向に変えていきたいと思いませんか。

最後にこんな言葉をご紹介します。

スマートフォンで世界を変えたアップルがCMで使った言葉です。

「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが本当に世界を変えているのだ」

皆さんが充実した学生生活を送れることを期待しております。

(長尾 確)


在校生からの一言

Kei Inoue

世の中は大量の情報であふれています。今もなお増え続けています。それら膨大なデータの多くは利用者に直接見えないかたちでやりとりされていて、あるいは人が扱いやすいかたちに加工されていて、その結果私たちはいとも簡単に知りたい情報を得ることができます。メールや動画、ネットショッピングなどを楽しむことができます。さまざまな大規模システムを通して、社会をうまく回していくことができます。

また、みずから情報を発信することも容易です。それがちょっとしたつぶやきや日記なら、誰にでも書きやすく読みやすいデザインが用意されるでしょう。重要な個人情報やパスワードの場合は、堅固なセキュリティによって守られることでしょう。

これらはすべて情報技術のおかげで成り立っています。私たちの生活は情報技術なしではありえません。数値解析やアルゴリズム、データベースや知識処理など、情報工学コースの講義科目にあるような分野のひとつひとつが、現代社会と密接に関わり合っているのです。

日常でこれらの技術を使っていると意識することなどほとんどなかったかもしれませんが、それほどに当たり前の存在となっているのですが、かつてはどれもまったく新しい技術でした。つまり、過去に新たな分野を切り拓く人間がいたからこそ現在の情報技術・社会基盤があるということです。そして、情報が増え続ける以上、これからも情報技術は発展していく必要があります。皆さんも情報工学コースで情報技術について学び、技術者・研究者を目指してみませんか。

(井上 慧)


大学院生からの一言

Haruya Kyutoku

今日では、PCや携帯電話(特に最近ではスマートフォン)などのコンピュータは、私たちの生活に欠かせないものとなっています。皆さんも一度は、PCや携帯電話で、動画の再生や音楽のダウンロード、ネットショッピングやネットオークションなどをしたり、ニュースや天気予報等の情報を調べたりした事があるのではないかと思います。

20年前までは、誰もがPCや携帯電話を持っている時代ではありませんでした。それから10年で多くの人がそれらに触れるようになり、ネットワークが普及しました。携帯端末から得られる情報は小さな画像や「着メロ」程度でしたが、その後今日までに、動画や音楽までもが高速に入手出来るようになりました。ネットワーク技術の発展により、大きなデータを高速に伝達することが出来るようになったのです。また、多くの人がインターネット越しに情報を共有するようになるにつれ、莫大なデータが蓄積されていきました。このようなデータをうまく取り扱う技術の発展が無ければ、「検索をかければすぐに情報が手に入る」といった今日の便利さはあり得なかったでしょう。この他にも、最新のゲーム機では体を動かして操作できるものがありますが、こういった技術も最先端の情報工学が実現したものです。このように、情報工学の研究成果は目に見える範囲だけでも幅広く用いられています。

情報工学コースでは、コンピュータの扱い方や動作原理といった、情報工学の基礎から学んでいきます。ですから、今までにPCに触れた事が無いような人でも安心して学んでいく事ができます。そして、基礎を習得したら研究室に所属し、それまでに学んだ知識を活かして卒業研究を行い、最先端の技術を習得、そして生み出していきます。ロボットを扱ったり、回路を扱ったり、カメラを扱ったり・・・等々、研究室にはハードウェアからソフトウェアまで様々な研究テーマがあるので、必ず興味のあるテーマが見つかるでしょう。

このように、身近で生活に深く関わる分野です。是非、情報工学コースで多くの知識や技術を学びましょう。

(久徳遙矢)


卒業生からの一言

Issei Naruta

私は多くの同級生とは異なり、工業高等専門学校(高専)で情報工学を五年間学んだのち、名古屋大学工学部情報工学コースの三年生として編入学しました。

私の場合は中学時代に高専を志望する段階で、将来ITエンジニアになることを決めていたので、大学のコース選択で迷うことはありませんでした。

編入学して驚いたのは、講義のレベルがとても高いということです。高専で習ったものと重複した講義がいくつかあったのですが、進度についていくために学び直す必要がありました。特に実験の授業は難易度が高く、苦しみの連続でしたが、技術者として必要な基礎を手を動かしながら身につける貴重な機会でした。

大学院卒業後、新卒で入社した企業では、大規模Webメールサービスのバックエンド開発エンジニアとして働きました。そして現在は転職し大手Webサービスのインフラエンジニアをしています。情報工学コースのOBはメーカーに就職するが多く、同級生の中でWeb業界に進んだのは僕だけでした。私はものづくりに思い入れがあるため、モノを作って納品するという業態ではなく、自分たちの手で作ったものを、自分たち自身によって直接ユーザさんに届ける仕事をしたいという思いからこの業界を選びました。

業務では情報工学コースで学んだ内容をフルに活用できていますので、Webの業界で働くことを考えている方は、情報工学コースでしっかりと技術の基礎を学ぶことをおすすめします。

また、Web業界は変化が非常に激しいので、情報工学・情報科学をしっかり大学で学んだかどうかがエンジニアとしてのキャリアに大きく影響すると考えています。

情報工学コースに入ったあとは、大学院である情報科学研究科への進学をおすすめします。いままで身に着けてきた知識や思考力の全てを使って研究に打ち込むことができる環境が整っています。ぜひ存分に楽しんでください。

(成田 一生 クックパッド株式会社 技術部)

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